当院の白内障手術への取り組みにつきまして

全例日帰り手術で行っております。麻酔は点眼麻酔とテノン嚢下麻酔(白目に注射)にて痛みはほとんどなく、約15分の手術です。

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白内障手術は「水晶体の透明性回復」のための手術であると同時に屈折矯正手術の側面も持っており、遠視・近視・乱視を正すまたとない機会です。当院では術後満足度の高い白内障手術を目指し、以下のような取り組みを行っております。

<術後乱視の低減>
1)小切開白内障手術
白内障手術時には切開による乱視変化(惹起乱視)が起こります。小切開手術を行うことで術後惹起乱視の低減に努めております。
2)トーリック(乱視矯正)眼内レンズの導入
従来、白内障手術に用いられる眼内レンズは乱視矯正が出来ませんでしたが、近年トーリック眼内レンズの登場によって乱視を打ち消す事が出来るようになりました。当院では一定度数以上の術後乱視が予測される場合には積極的にトーリック眼内レンズを使用しています。「見え方の質」の向上に大きく貢献するレンズで、使用した患者さんにも大変満足頂いております。
3)手術の切開位置
患者さんにより乱視の現れ方は様々です。軽度の術後乱視が予想される場合には術前の角膜形状解析の結果からその方に合った位置に作成すること(強主経線切開)で、術後惹起乱視を利用して乱視を減少させるよう心がけています。
4)角膜形状解析・屈折力解析装置 OPD-SCAN III 導入
角膜の形状解析と眼球の屈折度の解析を行う最新の機械で、角膜、眼内それぞれの成分を詳細に解析できますので白内障手術前後の屈折&乱視管理をより正確に行う事ができます。術前に不正乱視の検出や適切な眼内レンズの選択に貢献します。上記トーリックレンズ挿入後には早期から適正な角度にあるか確認できますので、必要に応じて修正も可能です。

<眼内レンズの選択>
1)眼内レンズの度数決定
定評のあるZeiss社のIOLマスターを使用しております。また混濁の強い方などは超音波Aモードも併用してより精度を高める努力をしております。
2)眼内レンズ種類の選択
各メーカの球面&非球面レンズ、クリアorイエローレンズを取り揃えております。患者さんそれぞれのお仕事やライフスタイルも考慮して度数、レンズの種類等決定します。
画家さんやカメラがご趣味の方などには術後の色の変化が自然なイエローレンズ、将来硝子体手術や眼底レーザー処置の可能性の有る方には直径の大きめなレンズ、黄斑変性や前駆病変の方にはフィルター効果の高いレンズ(イエローレンズやAMO社Opti Blueなど)等々、相談の上決定させて頂きます。
眼内レンズには人間の眼の様な調節力はないため「遠近両方とも裸眼ですっきりとは見えない」事が最大の欠点ですが、術後ある程度裸眼で見えるようにするモノビジョン(片眼を遠方寄り、反対眼を近方寄りとし分担させる方法)も対応可能です。
また自費診療とはなりますが、
多焦点(遠近両用)眼内レンズも扱っております。
詳しくはご相談下さい。


<感染症予防>
白内障手術のもっとも忌むべき合併症に感染症による術後眼内炎があります。非常に稀ではありますがひとたび起これば最悪失明もありえます。術中術後の抗生剤投与、点眼は勿論として、以下のような取り組みを行っております。
1)手術室内の浮遊細菌低減
手術室の空調はHEPAフィルターによるクラス10.000以上の空気清浄度を保ちます。また前室を設けることで汚染空気の出入りを極力抑えます。
2)手術創口
オーソドックスな自己閉鎖強角膜3面切開を基本としております。結膜で創口を完全に覆い1針縫合を加えますので、角膜切開に比べて手間と時間は若干増えますが、手術創が露出せず安全です。(ただし、後の緑内障手術が予想される方などは結膜温存のため角膜切開を行う場合もあります。)
3)術前、術中の無菌化
眼内炎の原因は元々眼周囲に存在する菌(常在菌)によるものが多いとされます。これに対し手術前からの抗生剤点眼による「術前減菌法」が有効とされ、当院では4日前から開始して頂いております。手術開始時にはイソジン原液にて眼周囲皮膚を、PAヨードにて結膜嚢内の念入りな滅菌を行い、術中にも適宜術野の洗浄を行います。
眼内レンズ挿入後は感染の温床となりやすい粘弾性物質(術中使用薬剤)を確実に除去し、抗生剤(モキシフロキサシン)添加灌流液にて眼内レンズ裏まで眼内を洗浄して終了します。(Bag and Chamber Flushing: 松浦一貴先生(野島病院、鳥取大学))
安全で有効と思われる手技は適宜取り入れて参ります。


ふなこし眼科ペインクリニック
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